パテント クリフ。 製薬業界大手アステラス製薬(4503)を分析!特許切れの影響は株価見通しへ影響。

パテント・クリフ(特許の崖)

パテント クリフ

アステラス製薬とは アステラス製薬は国内医薬品メーカーであった、山之内製薬と藤沢薬品が2005年に合併したことで発足した企業です。 国内メーカーですが、海外にも複数の拠点を持つ大企業であり欧米を中心に海外でも幅広く販売を行っています。 特に泌尿器分野に強く同分野の主力製品は年間売上高2,000億円を大きく超えており、欧米でも高いシェアを獲得しています。 アステラス製薬の事業 アステラス製薬は医薬品事業のみを行っており、医薬品の売上=会社の業績となります。 アステラス製薬の主力医薬品について確認していきます。 XTANDI イクスタンジ 前立腺がん治療剤であるイクスタンジは、前立腺がんの成長に必要な受容体の伝達を阻害します。 結果的にがん細胞の増殖を抑制し自滅を誘導する治療薬です。 世界の約70の国と地域で販売されており、年間売上は3300億円に達するアステラス製薬の主力薬品となっています。 ベシケア ベシケアは過活動膀胱治療剤として約80の国と地域で販売されています。 膀胱平滑筋の受容体をブロックすることで膀胱平滑筋を弛緩させ、過活動膀胱に伴う頻尿などの諸症状を改善する医薬品です。 年間売上高は950億円となっています。 ベニタス、ミラベトリック、ベットミガ ベニタス、ミラベトリック、ベットミガは全て同一薬品で、販売地域によって製品名が異なっています。 約50の国と地域で販売されているベシケア同様過活動膀胱治療剤です。 年間売上高は1500億円近いアステラス製薬の主力製品の一つとなっています。 プログラフ他 プログラフ、アドバグラフ、グラセプター、アスタグラフXLは全て臓器移植による拒絶反応の抑制などの治療に使用される免疫抑制剤です。 約100の国と地域で販売されており、年間2000億円近く売り上げています。 これら主力製品による2019年3月期の合計売上高は7700億円を超えてています。 アステラス製薬全体の売上の半分以上を占める名実ともに業績を左右する主力製品と言えます。 アステラス製薬の過去 10年の業績推移 アステラス製薬の過去10年間の売上高、営業利益、経常利益、当期純利益は下記のとおりです。 営業利益、経常利益、純利益とも多少の波はありますが、安定した業績が見て取れます。 2009年、2010年などの世界的な金融危機による不況で多くの大企業が赤字となった年もしっかりと利益を出しています。 製薬業界の特徴として景気に業績が左右されにくいという点があります。 景気が悪くなろうが、様々な治療はストップするわけにはいきませんからね。 アステラス製薬は不況期にも強いディフェンシブ銘柄と言えるでしょう。 ただ、医薬品には特許期間というものがあります。 特許が切れた後は他社が同じ成分を持つ安価な薬を次々と販売するため特許が切れた薬の売上は急激に落ち込みます。 他社が後発で販売する同成分の薬をジェネリック医薬品と言います。 医療費を抑制したい政府としてもジェネリック医薬品を勧めており今後もジェネリック医薬品の販売は増していくと考えられます。 ジェネリック医薬品は、特許が切れた薬の公開された特許を活用するので、研究開発費がほとんど不要となり、安価で販売することが可能です。 このように医薬品メーカーの業績は主力製品の特許切れにより大きく落ち込むことがあり、これをパテントクリフ(特許の崖)と言います。 実際、アステラス製薬の業績が2018年に落ち込んでいるのは特許切れの影響が大きな要因です。 2019年度も主力製品であるベシケアの他複数の医薬品の特許が切れることになっており、今期見通しは減収減益となっています。 医薬品メーカーも主力製品の特許がいつ切れるのかはもちろん把握しております。 主力製品の特許切れの前に次の主力製品を開発できるように積極的に研究開発を行っています。 医薬品の研究開発には安全性の確認を取る必要があり多大な時間と費用がかかります。 他業種に比べ研究開発費が高額であるのが医薬品メーカーの特徴の一つです。 アステラス製薬の過去10年の業績推移(EPS、BPS) アステラス製薬の過去10年間のEPSとBPSです。 アステラス製薬の過去10年間のEPSとBPSです。 EPSは前述の特許切れの影響などもあり波がありますが、しっかりとプラスを維持しています。 BPSは安定していますが、近年伸びがストップしていることがわかります。 アステラス製薬の過去10年のROEとROA 下記はアステラス製薬の過去10年のEPS、BPSです。 ROE、ROA共に2011年~2014年は低下していますが、それでもROE7%以上、ROA5%以上となっています。 業績が好調で無い時期でも高い収益力を持つことが読み取れます。 基本的にはROEは10%を大きく上回る水準、ROAは8%を上回る水準で推移しています。 アステラス製薬の生産性、収益力は高水準といえるでしょう。 アステラス製薬のPERとPBRの推移 アステラス製薬のPER及びPBRは下記のとおりです。 過去の推移と比べると、PERはやや割安、PBRは底値に近い水準まで落ちています。 アステラス製薬のPER及びPBRは上記のとおりです。 過去の推移と比べると、PERはやや割安、PBRは底値に近い水準まで落ちています。 同業他社と比較するとアステラス製薬のPERが15. 2倍、PBRが2. 19倍なのに比べ、 エーザイはPER25. 4倍、PBR2. 91倍、第一三共がPER47. 3倍、PBR2. 72倍で比較的割安と言えます。 武田薬品工業は大型買収により、業績が大きく変動していますので比較しても分析にはなりません。 アステラス製薬の配当利回り アステラス製薬の配当利回りの推移です。 2%~2. 8%の間を推移しており、現在は過去3年の高値付近で推移しています。 といっても、高配当銘柄とよべるほどの利回り水準ではありませんので業績を見極めて投資判断を行うことが必要です。 アステラス製薬の投資判断 アステラス製薬の株価は2019年6月4日現在1,495円となっています。 PERは15倍程度、PBRは2. 2倍程度の水準です。 PERは同業他社と比べるとやや割安といった水準ですが、市場平均と比べると割安とは言えません。 今期業績予想が主力製品の特許切れにより減収減益を予想しており、安易な買いは控えるべきでしょう。 来期以降、特許切れ製品に代わる新製品などが出てくるかが注目点です。 アステラス製薬は歴史ある製薬会社でこれまでもパテントクリフを乗り越えてきていますので、来期以降で増収増益に転じる可能性は十分あります。 今後、新薬の開発あるいは既存製品のシェア拡大がどの程度進むのかが業績を左右する重要点となりますので、情報開示などをしっかり確認していく必要がある企業です。

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パテントクリフの危機的局面を乗り越えた財務戦略と戦略的IR エーザイ株式会社CFO 柳 良平(前編)

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INDEX• ベンチャー2社を相次ぎ買収 大型の新薬候補2品を獲得 大日本住友製薬は昨年後半、海外のバイオベンチャー2社の買収に相次いで合意しました。 1社は、中枢神経系領域の医薬品開発を手がけるカナダのシナプサス・セラピューティクス。 もう1社は、抗がん剤を開発する米トレロ・ファーマシューティカルズです。 シナプサスの買収額は約6億3500万ドル(当時のレートで約659億円)。 買収は昨年10月に完了し、米子会社サノビオンの完全子会社となりました。 トレロとは昨年12月に買収合意し、今年2月に買収が完了する予定。 買収には一時金2億ドル(買収合意時のレートで約236億円)を支払うほか、開発マイルストンとして最大4億3000万ドル(約507億円)、販売マイルストンとして最大1億5000万ドル(約177億円)を支払う可能性があり、買収の対価は最大で計920億円に達する見通しです。 ピーク時売り上げはいずれも500億円規模 大日本住友は2つの買収で、承認申請が近く、いずれもピーク時に500億円規模の売り上げを見込む開発後期の新薬候補2品を手にしました。 シナプサス買収では、パーキンソン病治療薬「APL-130277」を獲得。 2017年度の前半(4~9月)に米国で申請予定です。 「APL-130277」の有効成分アポモルヒネ塩酸塩は、パーキンソン病のオフ症状(薬の効果が薄れて急に体が動かしにくくなる症状)を一時的に改善する薬として注射薬がすでに承認されていますが、シナプサスの開発品は、フィルム製剤を舌下に投与するのが特徴。 注射剤に比べて体が動かしにくい状況でも投与が簡単で、速やかな効果発現が期待できるといいます。 トレロ買収で獲得したのは、白血病治療薬アルボシディブ。 サイクリン依存性キナーゼ9(CDK9)阻害剤という作用を持つ化合物で、CKD9を阻害することで、がん細胞の分裂や増殖に関与している遺伝子MCL-1の発現を抑制し、がん細胞の細胞死を誘導します。 アルボシディブは、急性骨髄性白血病の適応で臨床第2相(P2)試験を終了。 バイオマーカーが陽性の慢性骨髄性白血病の適応でP2試験を行っています。 大日本住友はバイオマーカー陽性の適応での開発を優先する考えで、米国で最速で18年度の承認申請を目指しています。 M&Aに託すV字回復 ノバルティスからはCOPD薬の販売権 大日本住友がこれら2つの買収に託すのは、2019年に特許切れを迎える抗精神病薬「ラツーダ」の穴埋めと、そこからのV字回復。 多田正世社長は昨年12月21日、トレロ買収に関する電話会見で「ラツーダのパテントクリフ後の成長に寄与すると期待している」と語りました。 「ラツーダ」の売上高は1271億円(16年度見込み)に上り、連結売上高の3分の1を稼ぐ大日本住友の最主力品。 特許切れのインパクトは大きく、昨年5月に公表した中期経営計画の見直しでは、19年度に営業利益がゼロに近い水準まで落ち込むとのイメージを示していました。 ポスト・ラツーダの大本命として12年の米ボストン・バイオメディカル買収で獲得した、がん幹細胞を叩くとされるナパブカシンの開発は、当初の計画から遅れています。 ブロックバスターとなることが期待されていますが、「ラツーダ」の特許切れには間に合わなくなりました。 特許切れによる減収を補い、早期に業績を回復させるには、近い将来、収益に貢献する開発後期品が必要不可欠でした。 これら2つの買収とは別に、昨年12月にはスイス・ノバルティスと慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬の米国での独占販売権に関するライセンス契約を締結。 「UTIBRON(日本製品名ウルティブロ)」「SEEBRI(同シーブリ)」「ARCAPTA(同オンブレス)」の米国販売権を獲得しました。 呼吸器領域は、米子会社サノビオンの得意領域。 昨年7月には、自社でもCOPD治療薬を米国で申請しています。 このうち米国での売上高がどれほどかは分かりませんが、販売権の獲得はすぐに収益を始めます。 パンテントクリフの影響を緩和するのに果たす役割は小さくはないでしょう。 国内事業は立て直しの真っただ中 M&A・導入「引き続き検討」 大日本住友はM&Aや製品導入に1500~2000億円の資金を用意しており、シナプサスやトレロの買収もその一環です。 多田社長は昨年12月21日の電話会見で「(パテントクリフ)対策だけではないが、将来への投資として1500~2000億円までは使おうということは以前から言ってきた。 今回2つ買収をし、金額としてはいい線にいっている。 相当そろってきているのは事実だが、引き続きM&Aや導入の検討は進めていく」と述べました。 一方、国内では、早期退職を行ったり、生産拠点の統廃合を進めたりと、合理化による立て直しの真っただ中。 長期収載品の売り上げ縮小や新製品発売の遅れなどにより、国内事業の業績低迷に歯止めがかからない中、当面は成長の材料を海外に求めざるを得ないのが実情です。 「ラツーダ」の成長で大日本住友の米国事業は大きく成長しました。 特許切れ後も、その重要性は変わらないでしょう。 獲得した品目を、ナパブカシンのように計画から遅れることなく市場に届けられるか、そして見込み通りに成長させられるかが、V字回復へのカギとなります。 [PR].

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【2020年/2019年最新版オーソライズド・ジェネリック医薬品一覧表付】AGが製薬の業界再編をもたらしうるのではと思ったので調べてみた

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抗体医薬品は5品目がトップ10入りし、企業業績への抗体医薬の重要性が増している。 (ただし、集計は金額ベースであるので、抗体医薬の単価の高さも影響している)。 パテントクリフの影響 主なブロックバスターの減収額【製品名、一般名、減収額(前年比)】は以下のようになった。 長らく予想されてきた「パテントクリフ」が現実のものとなって現れた2012年決算であった。 第99回の海外化学者インタビューは、ポール・プリーガー教授です。 マッセイ大学基礎科学研究所に所属し、…• , 「化学者のためのエレクトロニクス入門」シリーズでは、今や私たちの日常生活と切っても切れないエレクトロ…• , 第98回の海外化学者インタビューは、グレアム・ジョージ教授です。 クイーンズランド工科大学物理・化学科…• , 安藤弘宗(あんどう ひろむね, 1971年8月14日-)は、日本の化学者である。 岐阜大学教授。 , , , 皆さんはこの3月以降,学会に参加発表されましたか?Covid-19パンデミックの影響で国内学会の年会…• , 脂環式アミン類の直截的C—H官能基化反応が開発された。 保護基や遷移金属触媒を必要としない本手法は、環…• , 山東信介 1973年、和歌山県生まれ は、日本の化学者である。 専門は生体機能関連化学、ケミカルバイ…•

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