安倍 首相 イラン。 安倍首相、イランに米との衝突回避求める テヘランで首脳会談

米国とイランから「余計なお世話」と言われた日本

安倍 首相 イラン

その要因は、貿易摩擦の激化による原油需要の先行き不安である。 関税の対象にメキシコ産原油が含まれる場合、米国の石油精製業者が打撃を受ける恐れがある。 年初から原油価格の上昇を牽引してきた投機資金も流出が続く。 WTI原油先物市場におけるヘッジファンドによる買い越し幅は、直近の1カ月で4割も減少した。 市場の需給均衡に貢献する協調減産 原油市場は弱気相場入りし、50ドル割れの懸念が囁かれる中で、下支えの材料はOPECと非OPEC産油国による協調減産である(日量120万バレル)。 ロイターの調査によれば、5月のOPEC加盟国14カ国の原油生産量は前月比6万バレル減の日量3017万バレルと2015年以来の低水準だった。 イランの生産量が前月比40万バレル減、ベネズエラが5万バレル減となった一方、サウジアラビアは20万バレル増の1005万バレルとなり、イラクやアンゴラも増産した。 ロシアの5月の原油生産量は前月比12万バレル減の日量1111万バレルとなり、合意目標を下回っている(ロシア・エネルギー省)。 4月下旬に起きた欧州向け原油パイプラインの汚染問題が尾を引き、原油生産量は3年ぶりの低水準となっている。 サウジアラビアは今年後半も協調減産を続ける意向を重ねて表明しているが、ロシアは延長するかどうかについて慎重に検討するとの姿勢を崩していない。 「弱り目に祟り目」の米国シェール企業 米国の5月末の原油生産量は日量1240万バレルと過去最高を更新したが、石油掘削装置(リグ)稼働数は月間ベースで6カ月連続の減少となった。 シェール企業の多くが、投資家の要請により利益の伸びを拡大する方針に転じたことに加え、改善傾向にあったキャッシュフローが今年に入って再び悪化し(5月29日付OILPRICE)、新たな掘削への支出を減らしていることがその背景にある。 メモリアルデーが過ぎドライブシーズンに入ったが、米国のガソリン小売価格が高止まりしていることから、ガソリン需要は昨年を下回る水準で推移しており、原油在庫は2017年7月以来の高水準となっている。 需要面から生じるさらなる原油安はシェール企業にとって「弱り目に祟り目」である。 ジャンク債ファンドは5月29日終了週に12. 動揺し始めた中国の金融市場 中国の原油需要も心配である。 中国の国家統計局が5月31日に発表した5月の製造業購買担当者指数は予想以上の悪化となり、節目の50を下回った。 中国の石油製品市場は供給過剰状態が続いており、国内で溢れた石油製品がアジア市場を席巻し、精製マージンが16年ぶりの低水準となっている(5月23日付OILPRICE)。 中国国内の金融市場が動揺し始めているのも気になるところである。 中国当局は5月24日「深刻な信用リスクがある」として内モンゴル自治区の金融機関である包商銀行を管理下においた。 20年ぶりのことである。 これを受け中国の銀行間市場では資金調達コストが上昇し、金融システムに影響が波及するとの懸念が高まっている。 包商銀行のように2018年の年間報告の公表を遅延している金融機関が10行以上に上っており、次の銀行破綻は中国版リーマンショックになるとの憶測も出ている(6月2日付ZeroHedge)。 米国当局は2008年4月にベアスターンズを救済したが、リーマンブラザーズの救済を放棄したことで金融危機が発生したとの連想である。 バブル経済を演出してきた資金繰りがいよいよ厳しくなっていることは間違いない。 イラン軍の間近に迫る米軍の攻撃部隊 このように原油価格の下落傾向は鮮明になっているが、原油価格を急騰させる地政学リスクも高まっている。 中東地域の緊張の高まりを受けて、5月30日、サウジアラビアのメッカでアラブ連盟と湾岸協力理事会(GCC)の2つの首脳会談が開催された。 イランへの非難声明を発した主催国のサウジアラビアだが、自国へのイエメンの反政府武装組織フーシ派によるドローン攻撃が相次いでおり、5月中旬の原油パイプラインに続き、南部の空港がさらなる標的となっている。 米国政府は5月24日、イランの脅威を理由に、サウジアラビアなどアラブ地域の同盟諸国に対する81億ドル相当の武器売却を議会承認抜きで決定するとともに、900人規模の米兵をサウジアラビアとカタールに増派した(5月30日付ZeroHedge)。 イランは5月以降、米国の制裁強化の影響で原油輸出量は最大50万バレル減少したと言われている。 だが生産の即時停止をできないため、2010年代前半の制裁時と同様、陸上だけでなくタンカーを使って大量の洋上備蓄を行っている(5月23日付OILPRICE)。 米軍は中東地域に空母打撃群と爆撃部隊、パトリオットミサイル部隊などを派遣し、イラン軍の間近に迫っているが、イラン側は米国の意図がわからずに不安を募らせている。 トランプ大統領が戦争を望んでいないとしても、些細なきっかけで衝突しかねない、かなり危険な状況である。 存在しない「衝突」防止の仕組み 戦争を回避しながら軍事的な圧力を維持するには、偶発的な、または意図しない武力衝突を避けなければならない。 しかし、イランと米国の間に直接かつ頻繁に接触できる交渉ルートがなく、事が起きたときに拡大を防ぐ仕組みが限られている。 例えばシリアでは、シリアでの偶発的な衝突を避けるために作ったロシアとのホットラインを通して、イラン軍にメッセージを伝えることができる(5月24日付ロイター)。 とはいえ、イランとの危機を避けるためにロシア政府に頼るという構図は、米政府関係者にとって不安の種である。 イラクでは、米国はイラク治安部隊を仲介役として、イラン軍やイランとつながるシーア派民兵組織との危機管理体制を整えることが可能である。 だが、イランへの擁護を強めているイラク政府に対する米国側の懸念が生じている。 しかしホルムズ海峡で一朝、事が起こればどうなるのだろうか。 2016年、米海軍の小型船が誤ってイランの領海に入り、米兵が10名が拘束される事案が発生した際は、米国のケリー国務長官(当時)とイランのザリフ外相が即座に電話会談を行い、数時間後には兵士ら解放の手はずが整った。 だがザリフ外相とポンペオ国務長官は直接言葉を交わしたことがないと言われている。 日米中などの21カ国は2014年に西太平洋海軍シンポジウムで「海上衝突回避規範」に合意したが、米国とイランの間には船舶衝突を防止する仕組みが公式・非公式を問わず存在しない(6月1日付ニューズウィーク)。 ペルシャ湾でも西太平洋と同様の仕組みを構築することが試みられたが、イラン革命防衛隊の反対で実現に至っていない。 シーレーン防衛に日本が果たす大きな役割 ペルシャ湾が封鎖になると世界で一番困るのは日本である。 輸入する原油の8割、天然ガスの2割がホルムズ海峡を通っている。 安倍首相は6月12~14日の日程でイランを訪問する。 トランプ大統領との親密な関係はもとより、イランのロウハ二大統領とも国連総会等の場で定期的に会談を重ねており、「米国とイランの仲介役を目指す」と報じられている。 しかし、トランプ大統領とイランの最高指導者が直接交渉できるような条件を安倍首相が提案できる可能性は少ない。 ポンペオ米国務長官は6月2日、「米国はイランの核プログラムに関して前提事件なしに同国と協議する用意がある」と述べたが、ロウハニ大統領は「交渉のテーブルを離れ、協定を破棄した側が通常の状態に戻るべきだ」と語った。 IAEAが5月31日に「イランは主要6カ国と結んだ核合意を引き続き遵守している」とする報告書を発表したように、態度を改めるべきは米国である。 だが、仮に変化が生ずるとしても次期大統領選以降であり、両国の睨み合いが長期化すると予想されている。 筆者が注目しているのは「間違っても武力衝突に至ることがないよう努力する」という安倍首相の決意である。 歴史を振り返ると、日本は1990年の湾岸戦争後、海上自衛隊の掃海部隊をペルシャ湾に派遣した。 掃海部隊が米海軍と共に活動を行った海域にはイランの領海が含まれていたことから、日本はイランと交渉し(米国はイランと既に国交を断絶していた)、イランの士官2名を掃海母艦に同乗させた(米国の連絡士官も乗っていた)。 炎天下に加えイラクが油田に火を付けたことより黒い雨が降るという悪条件下にもかかわらず、黙々と任務をこなす海上自衛隊の姿に感動したイランは、任務終了後の掃海部隊を自国に招待し、異例の厚遇を行った。 その後も両軍の友好な関係が続いており、今年4月下旬に開催された中国海軍創設70周年の国際観艦式の際も、海上幕僚長とイラン海軍司令官が会談を行っている。 筆者は軍事専門家ではないが、米海軍とも緊密な連携ぶりを誇る海上自衛隊は、ペルシャ湾における現場レベルでの危機管理・紛争防止メカニズムを早期に構築するために重要な役割を演じることができると考えている。 安倍首相はロウハニ大統領に続き、イラン革命防衛隊を指揮下におさめる最高指導者のハメネイ師とも会談することになっている。 安倍首相のリーダーシップの下、海上自衛隊をはじめとする現場の尽力により、日本は世界のシーレーン防衛のために大きな貢献ができるのではないだろうか。 2019年6月7日 に掲載.

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安倍首相のイラン訪問 緊張緩和の仲介とは程遠い中身と日本側の甘い評価(川上泰徳)

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安倍晋三総理がイランを訪問した直後、日本籍のタンカーがUAE沖で攻撃を受けた。 この攻撃をどう読み解けばいいのか混乱が続くが、それを考えるためには、アメリカ・イラン関係がどのような経緯を辿ってきたのかを振り返る必要がある。 在イエメン大使などを歴任した元外交官で、中東情勢に詳しくを運営する野口雅昭氏が解説する。 緊迫する湾岸情勢 このところペルシャ湾(地理学上はペルシャ湾だが、アラブ諸国の多くはアラビア湾と呼び、国際政治上では中立的な観点から、単に湾岸と呼んでいるので、以下湾岸とします)をはさみ、米国とイランの緊張が高まっていたところ、安倍総理がテヘランを訪問し、ハメネイ最高指導者とも会談することとなり(現地時間6月13日)、両者の調停をするのではないか、との期待が高まっていました。 しかし、総理のテヘラン滞在中に、 UAE沖で我が国のタンカーを含む2隻のタンカーが攻撃されるなどの事件が発生しました。 緊張が一挙に高まり、湾岸向けの船舶保険も高騰している模様です。 米国はこの事件に関し、即座に 国務長官が「イランが関与していることは種々の情報から間違いない」とし、トランプ大統領も同様の見方を示した上で、この問題を安保理に提起しました。 これに対して、 イラン政府は「何の関係もない」と関与を全面否定し、米国と同様の見解を英外相が示したことに対して、テヘランの英国大使を招致し、抗議しました。 他方国連の事務総長は、公正で透明な国際調査が必要との見解を表明しています。 要するに、事件は肝心の誰の仕業か? という疑問から始まって、いまだ謎の多い事件ですが、何しろ事件が発生したのは、世界の原油の多くが通る海域です。 さらに、米空母機動部隊が派遣され、多数のイラン革命防衛隊(イランの精鋭部隊)などの舟艇とにらみ合っているホルムズ海峡を巡る事件ですから、今後の状況の進展いかんによっては、原油の安定供給に大きな影響が出るのみならず、武力衝突から、湾岸、中東、ひいては国際社会の安定を大きく損なう可能性もあり得ると見られます。 我が国としても、総理がテヘランを訪問中の事件ですから、他人事としてみているわけにもいかないと思います。 しかし上に書いた通り、現在ではいまだ必ずしも十分な情報があるとは言えないうえに、現地情勢も流動的な模様ですので、この小論がお目に触れる時には、すでに新しい状況が生まれている可能性もありそうです。 そこで、手持ちの材料をもとに、事件の背景、安倍訪問とイラン・米国関係の連関、イランのアラビア半島における活動などに関し、まとめておきたいと思います。 「6か国合意」から制裁へ この事件の背景を探っていくと、基本的には1979年のイランのホメイニ革命にまでさかのぼりますが(イランが米国やイスラエルに対して抱く極度の敵愾心・警戒心、そしてサウディなどアラブ諸国との対立抗争)、そこまで行くと大きすぎる問題になるので、問題をイランの核開発問題と6か国核合意(2015年締結)以降に絞ります。 今世紀に入り(2000年代前半)、イランの核兵器開発問題が、核兵器の不拡散の立場から国際社会の重大な関心事となりました。 しかし当時のアハマディネジャード政権は、イランは核の平和利用の権利を有していると強く反発し、ウランの濃縮を進めるなど国際社会の懸念に反発する姿勢をとってきました。

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安倍総理イラン訪問は失敗か? 元外交官がアメリカ・イラン関係を読む(野口 雅昭)

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イラン大統領に一蹴された安倍提案 政府が12月27日、海上自衛隊の中東地域派遣を閣議決定した。 防衛省設置法の調査・研究に基づく措置。 ソマリア沖のアデン湾で海賊対処活動に就いている自衛隊のP3C哨戒機のうち1機と、新たにヘリコプターを搭載できる護衛艦1隻をそれぞれ派遣する。 5月以降、ホルムズ海峡付近でタンカー攻撃が相次いだことを受け、船舶警護を行う有志連合への参加を求めた米国と、最も情勢が緊迫しているホルムズ海峡を活動範囲から除外することで沿岸国のイランに、それぞれ配慮した、という事情は、すでに、各メディアが報じている通りだ。 ただ、この「配慮」について、米国とイランはどのように評価しているのだろうか。 感謝されているのであれば、配慮であると胸を張ることもできよう。 実際の状況は少し異なっていたようだ。 安倍晋三首相は閣議決定に先立つ12月20日、来日したイランのロウハニ大統領と会談した。 安倍首相は海上自衛隊の派遣計画について説明した。 外務省によれば、ロウハニ大統領は、ペルシャ湾地域の緊張緩和に向けた日本の外交努力を評価したという。 また、安倍首相はイランの核開発合意を損なう行動に強い懸念を表明した。 外務省によれば、これについてロウハニ大統領は「イランの立場について説明した」という。 これについて実際はどうだったのか。 日本とイラン関係に詳しい関係筋によれば、安倍首相はロウハニ大統領に対し、米国との協議を進めるよう働きかけた。 だが、ロウハニ大統領は「米国が一方的に核合意を破棄した。 協議するかどうかは米国とイランの問題だ」と一蹴されたのだという。 「日本が口出しする余地はない」と言われたようなものだ。

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