イナズマ イレブン フロイ。 イナズマイレブン短編集3

イナズマイレブン オリオンの刻印

イナズマ イレブン フロイ

元『シャドウ・オブ・オリオン』のメンバーである、ユリカ・ベオルはフェリーに乗っていた。 ロシアから日本へと渡るためのフェリーだ。 船内の窓から外を見渡す。 そこには、綺麗な海が広がっている。 「綺麗だねぇ」 ユリカの隣に座っているフロイ・ギリカナンはそう呟いた。 「だね。 綺麗な青色だ」 その横に座っているマリク・クアベルもそう呟く。 「知ってる?海が青い理由って、空を反射してるからなんだよ」 更にその横に座っているルース・カシムは物知りそうにそう言った。 ・・・ユリカは思った。 「うるさい」 自分は今、海を楽しんでるのだ。 なのにこの男子共はいつでも喋りまくっている。 とてもうるさい。 ユリカはフロイの横に座っているのに嫌気がさし、1人外に出ることにした。 そんなユリカを見てフロイは。 「ユリカ~。 あんまりうろうろしたら迷子になっちゃうよ~」 と、言ったが。 それに対してユリカはとくに返事をせず黙って外に出ていった。 今、このロシアの4人組は日本に向かっている途中だ。 目的は日本観光。 ・・・そう。 これは、数々の試合を乗り越えた英雄たちの、ゆったりとした休日のお話。 「ふ~。 やっと着いたぁ~!」 フロイは背伸びをしながら言う。 それに続きマリクとルースも。 「長旅だったねぇ~」 「ま、なんたって日本からロシアだからね。 そりゃ疲れるよ」 と、疲れを見せている。 そんな中、そのフロイ達を呼ぶ声が聞こえた。 「おぉ~い!フロイ~!」 元気よく片手を振り、叫んでいる少年。 それは一星 光だった。 その横には、野坂 悠馬。 灰崎 凌平。 稲森 明日人。 この日本組4人とロシア組4人は、このフェリー乗り場で待ち合わせしようという話になっていたのだった。 「あ、光だ!おぉ~い!」 フロイもそれに答えるかのように手を振る。 東京のかなり都会の方へと来ていた。 「わぁ~。 これが東京か!」 フロイはテンションが上がっている。 「そっか。 フロイは海外旅行とか初めてか」 一星は言う。 そんな2人の横で、野坂も喋る。 「今日はよく来てくれたね。 じゃ、早速だけど・・・日本を案内してあげるよ」 「ありがとう。 今日1日。 よろしく頼むね」 ルースが感謝を伝える。 そして灰崎は。 「・・・ったく。 なんで俺まで」 と、ブツブツと文句を言っている。 「もぉ~そんなこと言うなよ灰崎ぃ。 後でクマゾウ特別版人形やるからさ」 それをなだめる明日人。 「けっ!まぁそれだったら良いんだけどよ・・・」 そんな2人の会話をユリカはじっと見つめていた。 明日人は、ユリカのその視線に気付き。 「久しぶりユリカ!今日はよろしくね!」 元気いっぱいの笑顔でそう言う。 ユリカは「うん。 よろしく」と静かに言い、頷いた。 【つづく】.

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#イナズマイレブン #フロイ・ギリカナン もし生まれ変われるならば、僕はパソコンになりたい。

イナズマ イレブン フロイ

・今日語りたいアニメ(ネタバレあり 『イナズマイレブン オリオンの刻印』 35話 フロイとベルナルドのギリカナン兄弟からスタート。 「アメリカ戦では兄さんに譲ったはずです」 ああそうか、ロシアvsアメリカは、アメリカが勝ったんですもんね。 つまり、ロシアは負けてあげたのだと。 ようは、オリオン側の顔を立ててあげたのだと。 ようやく、ロシアが初戦負けた理由がわかりましたね。 けれど日本戦は自由に戦いたいのだと言うフロイ。 フロイとオリオンの関係性はどうなってるんですかね? お、OPに小僧丸と のりか が加わってますね。 特に、キーパートリオのところにのりかが参加するシーンは、作画的にも良い動きに良い表情で好きでした。 そしてロシアvs日本の試合開始。 おお、砂木沼はMFになるのですね。 デザームの頃に「本来のポジションはFW」って言ってた気もしますが、まあ、FWになるとFW多すぎるので、MFは妥当ですね。 FWからキーパーになるのに比べたら、MFの方がやりやすいでしょうしね(笑 「俺の辞書に不可能のミッドフィールダーは無い」 「ちょっと何言ってるかわかんないっすね」 のくだり好きでした(笑 って、不動いきなり帰ってるし!いやまあ、確かにそれも不動らしいっちゃあらしいですけど。 むしろ、ちゃんとメッセージ残して帰る分だけ、昔より大人になってる気もしますよ(笑 にしても、散々ラストリゾートの練習もしてるのに、灰崎はまたベンチスタートですか……ホントFW過多ですね。 あと、砂木沼のカードはキーパーのままなのですね(笑 そのうち別の絵に変わるのでしょうか? そんなこんなで試合開始。 いきなり、フロイの必殺シュート「イノセント・ドライブ」炸裂! それに対して、のりかさん「マーメイドヴェール」? 新技じゃないんですね……当然止められず、これで0-1。 まあ話的には、フロイの初必殺シュートがいきなり止められるってのもアレな気はするので、そういう作り手の考えもありそうではありますが。 おお、スカイウォーク凄い久々に見ましたね。 今回は風丸さんのスピニングフェンスもありましたし、久々技ブームですかね? のりかさんの新技が、円堂さんの技の真似だから使うの躊躇している、という流れから円堂さんの説得。 サッカーは母ちゃんの弁当理論! 「みんな今の自分にないもんを、他の誰かからもらって強くなっていくんだ!あの技は、完璧にお前の技だ!」 格言出ました。 良いこと言ってますけど、それは弁当とはまた違う気もしないではないです(笑 けど確かにまあ、パクったというか、誰かの技を見て思いつくみたいなパターンはわりとありますね。 なんなら全く同じ技を複数人が使うことだってあるわけですし、似た技でもオリジナリティが有れば良いのではないでしょうか。 ただまあ、急に大声でそんな話を始めたら、他の選手からしたら 「何を言ってるんだ?」ってなりますよねそりゃ(笑 でも、円堂さんらしい言葉たちで凄く良かったです。 からの、まさかの「マジン・ザ・ウェイブ」!!まさかのマジンシリーズでした!! キャッチの動きとか凄い格好良いですけど、マジン・ザ・ハンドは円堂さんの技の中でもわりと前の技というか……そこを経て、風神雷神とかダイアモンドハンドとかになってるので、今更マジン・ザ・ハンドの真似した技を出されてもあまり強さを感じない気もします。 と思ってたところに円堂さんの 「けどあのマジンは、俺のよりすげぇぞ」というフォローが入ったので、そこは上手いな、と。 さらに、小僧丸の「スイッチ」が入った!静から動へ! あのバチバチしてたやつスイッチだったんですか?やる気スイッチですか? ただこれ、もう完全にただのスーパーサイヤ人なんですけど(笑 青いから、ですかね。 必殺シュート「オーバーサイクロン」!! クマ出たー!!動物たちも出たー! 、名探偵氷浦が「ベア トルネード」みたいなクマの技を出すんじゃないか、って推理してましたけど、あながち外れてなかったですね(笑 にしても、動き的にも相当ラストリゾートを意識してる感じの技でしたね。 これだけ似てる技出しちゃうと、逆に「似て非なるもの」としてラストリゾートには届かない……っていう展開で、ラストリゾートはやっぱり新主人公トリオの技ですかね? それとも、本当に小僧丸が豪炎寺のところまでたどり着いてしまうのか……さてはて? ともかく、オーバーサイクロンでロシアキーパーの「ツーマンデ・ゴラン」を打ち破りゴール!これで同点! にしても、ロシアのキーパー名前がゴランで、でっかい手がボールをつまむみたいな技で「ツーマンデ・ゴラン」って(笑 もうちょっと考えてあげてよ! 同点に追いつかれたことで、フロイもいよいよ本気になる? ロシア戦、まだまだ先は長そうです! 余談ですけど、静と動を使いこなす小僧丸が、動になった時に以前の丸い体型に戻る、ってなったら面白いのになぁ…ってちょっと思ってました(笑 結果はまあ、スーパーサイヤ人ゴッドスーパーサイヤ人でしたけど! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・一言感想。 『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』 35話 うあああ、ナランチャーーー!! 急に、帰ったら学校行くとかフラグっぽいこと言い出したかと思ったら…。 つらい……つらいよ…。 『フルーツバスケット』 12話 出ましたね生徒会長(笑 お付きの女子二人と合わせて、なんか憎めないんですよね。 そして、慊人も来ましたね……この頃の慊人はシンプルに怖いんですわ……。 恐怖による支配と束縛。 それを愛情と区別出来ないのが慊人さんなんだなぁ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・あとは……まあ、特に無いです! ではでは、本日はこれにて。

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イナズマイレブン オリオンの刻印

イナズマ イレブン フロイ

あれは、まだ僕も兄様も幼かった頃。 僕と兄様は手をつないで歩いていた。 「にいさま、ずっといっしょにいてくれる?」 「ああ。 勿論だ。 」 優しく微笑んで、兄様は言ったのに。 突然、大人になった兄様が言った。 「悪いが私は忙しいんだ。 話なら後で聞く。 」 兄様は僕に背を向けて、足早に僕から離れていった。 待ってよ兄様。 ずっと一緒に居てくれるって言ったでしょ? ねえ、兄様! 「兄様っ!!」 僕は自分の寝言で飛び起きた。 「フロイ?どうしたんだ?」 横で顔を洗っていたユーリが不思議そうに僕の顔を覗き込んだ。 ああそうか。 僕は夢を見ていたんだ。 「・・・変な、夢を見たんだ。 」 半分ウソで、半分ホントの事だ。 まあ変な夢ではないんだけれど。 「・・・嘘つき。 ホントのこと言え、フロイ。 」 「どうして」 「どうして分かったかって?お前、泣いてるぞ。 」 「えっ?」 そう言われて僕は目の下を触ってみた。 少し濡れていて、ついさっきまで涙が流れていたということを証明していた。 「ホント、だ・・・」 「言いたくないなら、無理に言わなくてもいいんだけど・・・なにか辛いことあったら言えよ。 ダテにチームメイトやってる訳じゃないんだからな。 」 彼なりの優しい言葉は、いつもじーんと胸に染みてくる。 「ありがと。 」 精一杯笑って見せたら、ユーリもほっとしたようだった。 「な、話変わるけどな、フロイはもしも生まれ変わったら何になりたい?」 「もしも生まれ変わったなら?」 「うん。 日本の歌にそんな歌詞があってさ。 」 「生まれ変わったなら・・・」 僕は自分で自分に問いかけてみる。 花?鳥?星?それとも人? 「うーん・・・」 「難しく考えなくてもいいんだぞ。 」 「僕は・・・」 僕は、生まれ変わったなら・・・ 「・・・パソコンになりたい。 」 「パソコン??」 「うん。 パソコン。 」 ユーリはいかにも「どうして?」と言いたげな顔をしていた。 その時、 すごい音量でユーリのスマホが音を立てた。 「んん??ごめん。 」 軽く謝ってからユーリは電話に出た。 「はいもしもし。 はい、確かに僕がユーリ・ロディナですが・・・」 少しの間、ユーリは電話の相手と話していた。 「フロイ、お前、スマホの電源切ってないか?」 「え?」 そう言われて僕はスマホを起動してみた。 「うん。 切ってるけど。 」 「ベルナルド様がお呼びだ。 何回も電話したが通じなかったと半ギレだったぞ。 」 「兄様が?僕なんかしたっけ?」 「なんにもしなくても、我らがパーフェクトスパークのキャプテンだからだろ。 ほら、ベルナルド様のところに行ってこい。 」 ユーリに蹴り飛ばされるようにして部屋を出た。 そして兄様のところに行く。 [newpage] だだっ広い食卓にベルナルドは座っていた。 右手にはコーヒーカップを、左手にはさっきプリントアウトした書類を持っていた。 「・・・遅い。 」 彼は少し苛立っていた。 彼の弟、フロイを呼び出したにも関わらず、自分のもとに来るのが遅かったから。 その時、カチャリとドアが開く音がした。 「フロイ、遅いぞ。 」 「兄様、すみません。 」 反省しているのか、うなだれてフロイは入ってきた。 「兄様、どんな用ですか?」 「いいからそこに座れ。 食事しながら話そう。 」 ベルナルドはそばに控えていた若い執事たちに食事を運ぶように告げると、もう一度書類に目を落とした。 室内に沈黙が戻ってきた。 フロイは昔の記憶に思いをはせていた。 小さい頃はここに兄様とご飯食べながらサッカーの話をしてたっけ・・・ しばらくすると、執事たちが食事を運んできた。 全て運び終えると、ベルナルドは執事たちをチラリと見た。 執事たちは互いの顔を見合わせた後、静かに部屋を出た。 「フロイ、ロシアチームはどのような調子だ。 」 書類から目を離さず、ベルナルドは問うた。 「最良の状態ですよ。 我々ロシアはいつも最良の状態です。 」 フロイは多いくらいの食事は口に運びながら言った。 「そうか。 」 短く返答する。 それで会話は終了。 「兄様は、サッカーをやらないのですか?」 「私は忙しいのだ。 やる時間があれば仕事するさ。 」 「そう、ですか。 」 フロイは食事を済ませると、ベルナルドにあることを聞いた。 「兄様。 」 「なんだフロイ。 」 「兄様は、生まれ変わったら何になりたいですか?」 「生まれ変わったら?」 「ええ。 」 「・・・・・」 フロイは兄の返答を待った。 「・・・後で答えよう。 今は分からん。 」 「・・そう、ですか・・・・」 ベルナルドの回答に、フロイは肩を落とした。 「じゃあお前は何になりたいんだ?」 「僕、ですか?僕はパソコンになりたいです。 」 「パソコン?」 ベルナルドは怪訝そうに美しく整った顔を歪めた。 彼の反応はユーリと同じだ。 「ええ。 パソコン。 」 「そうか。 」 ベルナルドはまた書類に目を落とした。 「絶対、答えてくださいよ。 」 部屋から出る直前、フロイはそう言った。 しかし、ベルナルドは目もくれず、返答すらしなかった。 「生まれ変わったら、か・・・」 フロイの背が見えなくなった頃、静かに呟いた。 [newpage] 私は執務室に戻って、溜まっていた仕事を次々と片付けていった。 カタカタとパソコンのキーボードを打つ音と私の微かな息づかいだけが室内にこだまする。 コンコンとノックの音が聞こえた。 「グスターブか。 」 「失礼します。 」 優秀な老執事が大量の書類を抱えて部屋に入ってきた。 そしてその大量の書類をドンと机におく。 「ありがとう。 」 一言礼を言うと、ペコと彼は頭を下げた。 「それでは失礼しました。 」 仕事の邪魔をしないようにと、最大限の気遣いをしながらグスターブは部屋を出た。 それにしても大量だな。 エベレストのような書類の山を見て、しみじみオリオン財団の多忙さに感心する。 「さてと、やるか。 」 肩を自分でもんで、書類の山に挑む。 昼食も抜いてずっとパソコンや書類とにらめっこしていたというのに。 「・・まだなくならないのか・・・」 あの書類の山はエベレストではなくなっていたが、まだ富士山並の高さだった。 しかたない、休憩しよう。 そう思って立ち上がった時だった。 私の体が書類の山にあたり、バラバラと崩れ落ちたのだ。 「あ、ああ~」 我ながら情けない声を出しながら書類をかき集めた。 「グスターブ、来てくれ!」 拾い集めながら私は叫んだ。 しかし、遠い所にいて声が届かなかったのか、グスターブは来なかった。 「やれやれ、こんなことで労力を使うとはな・・・」 密かに呟いた。 ふと床に目をやると、写真が二、三枚落ちていた。 拾ってみると、私が今のフロイよりも幼かった頃の写真と生まれてすぐのフロイと私が写った写真とフロイと私が一緒になってボールを追いかけている写真だった。 この写真、なぜここに? 「・・・あいつらか。 」 私には思い当たる節があった。 それはあの食事を運ばせた若い執事たち。 そういえば、最近彼らに部屋の掃除を頼んだような気がする。 その時に出てきた写真が書類の下になっていたのだろう。 その写真をじーっと見つめてみる。 思い出した。 フロイの「生まれ変わったら何になりたいか。 」と言う問いに妙に懐かしいと感じたのか。 それは、幼い頃に『同じ問い』をされたからだ。 [newpage] 「なーベルナルド。 お前、生まれ変わったら何になりたい?」 「え?そうだな・・・じゃ、亘は何になりたいんだ?」 「俺?俺はな、サッカーのゴールになりたいんだ。 彼はベルナルドより何歳も年上で、最高のプレーヤーだった。 「私は・・・書類になりたい。 」 「へ?書類?」 素っ頓狂な声を上げて亘は言った。 「うん、だって書類になれば、『父様』にずっとみてもらえるから。 」 そうだ。 私は昔、生まれ変わったら書類になりたいと答えたのだ。 書類になれば、父にずーっと見て貰えるから。 父は今の私のようにずっと忙しそうに仕事をしていた。 当時はフロイも生まれてなかったから、いつも私はひとりぼっちだった。 私は家柄のために望めばなんでも手に入ったけれど、父の愛だけはどうしても得られなかった。 それは一番手に入らないもので、一番私が欲しいと望んだもの。 私はギリカナン家を継ぐために、そして父に見てもらうために勉強に励んだ。 そんな話をした数年後、ギリカナン家の次男としてフロイ・ギリカナンが生まれた。 初めて得た兄弟。 ある日、私は生まれてすぐのフロイのいるゆりかごを覗き込んだ。 私と同じ純白の髪は私との血のつながりを示す証に思えた。 その弟のやわらかそうな頬をつんと指で触れてみる。 やはりぷにっとして、柔らかかった。 その瞬間、パチッとゆりかごの中の弟は目を開けた。 そのつぶらな瞳は私と同じ明るい水色と濃い青色に、私と違う黒が入っていた。 しばらく、私と弟はじーっと見つめ合った。 そうして私は弟に指を突き出した。 泣かれて乳母が来るのも面倒だったから、指でもしゃぶってろと思ったのだが、弟はゆびをきゅっと握ってニコッと笑ったのだ。 その顔が本当に愛おしくて可愛くて。 私も微笑みを返したら弟は泣き出した。 解せぬ。 それから数年した後はフロイと朝早くから夕方まで遊んだ。 一日中ボールを追いかけたり、庭を散歩したり。 その幼いフロイのちょこちょこと歩く姿やニコッと瞳を細めて笑う顔がかわいらしくて。 その日常が変わったのは、フロイが手習いを始めた頃だった。 フロイは私の勉強を見ていたこともあり、すらすらと内容を理解し、ダンスや楽器のレッスンでは毎度のように神童と呼ばれていた。 私は急に怖くなった。 長男が家を継ぐと言うならわしはすでに古い。 もしかしたら私ではなく、フロイが一族を継ぐのではないかー。 そんな考えが頭をよぎった。 それからは少しずつフロイと距離を置くようになった。 「にいさま、あそぼうよ。 」 「悪いが私はやることがあってな、今日は遊べないんだ。 」 そんな言葉でフロイを避け続けた。 急に冷たくなった兄を弟はどう思ったのだろうか。 本音を聞いたことはないが、今思えば寂しくて仕方なかったのかも知れない。 あの頃の私のように。 急にフロイの顔が思い浮かんだ。 そして、スマホを操作してフロイに電話をかけた。 「フロイ、至急私の執務室に来い。 お前の問いに答えよう。 」 [newpage] 兄様は急に執務室に来いと言った。 僕の問いって「生まれ変わったら何になりたいか。 」のことだよね。 兄様は忙しいはずなのにどうしたのだろう? 「失礼します、兄様。 」 執務室に入ると、兄様はパソコンと書類を交互に見つめていた。 「あの、兄様。 」 「ん?ああフロイか。 」 「何のご用ですか?」 「ああ、電話で言ったとおりだ。 私が生まれ変わったらなりたいものはな、」 いきなり兄様は話し始めた。 「もういちどギリカナンの一族になりたい。 そしてよりオリオン財団の力を強めたい。 」 やっぱり、兄様は仕事が一番なんだね。 「フロイ、お前、なぜパソコンになりたいんだ?」 「え?」 僕がパソコンになりたい理由? 「・・・それは、」 「当ててやろう。 そうだな・・・私がずっと見てくれるから。 違うか?」 「・・・どうしてそれを?」 「私も同じ事を聞かれたことがあってな、その時私はこう答えた『書類になりたい』とな。 それは父にずっと見て貰えるからだ。 お前、幼い頃からすごく寂しかっただろう?私も同じ思いをしたことがあるんだ。 」 椅子から立ち上がって兄様は近づいてきた。 「私が生まれ変わったらもう一度ギリカナンに一族になりたいと言っただろう。 それはより財団の力を強めるため、そしてもう一つ。 」 そこまで言うと、兄様は微笑みを浮かべて大きく手を広げた。 「我が弟、フロイ・ギリカナンをもう一度強く愛するためだ。 ・・・おいで、フロイ。 」 兄様は優しく言った。 それはかつて僕と遊んでくれた兄様と同じように。 「にい、さま・・!!」 僕のほっぺをつー、と涙がつたっていった。 そして僕は兄様の胸に飛び込んだ。 「にいさまぁっ!!」 胸に飛び込んだ僕を、兄様は優しく抱き締めてくれた。 「ごめんな、フロイ。 寂しかっただろう。 私はこんなに可愛い弟そっちのけで仕事ばかりで・・・本当にすまなかった。 」 「にいざまっ、ぼぐ、ずっどざびじがっだよ。 ずっどにいざまにこうやっで抱いで欲じがったよ・・・」 僕はずっと兄様の腕の中で泣き続けた。 何分も、何時間も。 そして、フロイは泣きに泣いた後、すやすやと私の腕の中で眠りについた。 その顔は凜として大人っぽかったがまだあどけなさの残る思春期の顔だった。 背もいつのまにか伸びていた。 こんな変化にも気づけないほど、私はフロイを見ていなかったのか。 「すまない、フロイ。 」 私はフロイを起こさないように懺悔の言葉を言う。 そしてフロイの額にチュッとキスをする。 「私の可愛い弟、ゆっくり眠るといいよ。 」 「に、いさま・・・」 フロイは寝言で私のことを呼んだ。 フロイはどんな夢を見ているのだろうか。 答えはただ一つ。 フロイとベルナルドが共にボールを追いかけている夢だ。 END あれは、まだ僕も兄様も幼かった頃。 僕と兄様は手をつないで歩いていた。 「にいさま、ずっといっしょにいてくれる?」 「ああ。 勿論だ。 」 優しく微笑んで、兄様は言ったのに。 突然、大人になった兄様が言った。 「悪いが私は忙しいんだ。 話なら後で聞く。 」 兄様は僕に背を向けて、足早に僕から離れていった。 待ってよ兄様。 ずっと一緒に居てくれるって言ったでしょ? ねえ、兄様! 「兄様っ!!」 僕は自分の寝言で飛び起きた。 「フロイ?どうしたんだ?」 横で顔を洗っていたユーリが不思議そうに僕の顔を覗き込んだ。 ああそうか。 僕は夢を見ていたんだ。 「・・・変な、夢を見たんだ。 」 半分ウソで、半分ホントの事だ。 まあ変な夢ではないんだけれど。 「・・・嘘つき。 ホントのこと言え、フロイ。 」 「どうして」 「どうして分かったかって?お前、泣いてるぞ。 」 「えっ?」 そう言われて僕は目の下を触ってみた。 少し濡れていて、ついさっきまで涙が流れていたということを証明していた。 「ホント、だ・・・」 「言いたくないなら、無理に言わなくてもいいんだけど・・・なにか辛いことあったら言えよ。 ダテにチームメイトやってる訳じゃないんだからな。 」 彼なりの優しい言葉は、いつもじーんと胸に染みてくる。 「ありがと。 」 精一杯笑って見せたら、ユーリもほっとしたようだった。 「な、話変わるけどな、フロイはもしも生まれ変わったら何になりたい?」 「もしも生まれ変わったなら?」 「うん。 日本の歌にそんな歌詞があってさ。 」 「生まれ変わったなら・・・」 僕は自分で自分に問いかけてみる。 花?鳥?星?それとも人? 「うーん・・・」 「難しく考えなくてもいいんだぞ。 」 「僕は・・・」 僕は、生まれ変わったなら・・・ 「・・・パソコンになりたい。 」 「パソコン??」 「うん。 パソコン。 」 ユーリはいかにも「どうして?」と言いたげな顔をしていた。 その時、 すごい音量でユーリのスマホが音を立てた。 「んん??ごめん。 」 軽く謝ってからユーリは電話に出た。 「はいもしもし。 はい、確かに僕がユーリ・ロディナですが・・・」 少しの間、ユーリは電話の相手と話していた。 「フロイ、お前、スマホの電源切ってないか?」 「え?」 そう言われて僕はスマホを起動してみた。 「うん。 切ってるけど。 」 「ベルナルド様がお呼びだ。 何回も電話したが通じなかったと半ギレだったぞ。 」 「兄様が?僕なんかしたっけ?」 「なんにもしなくても、我らがパーフェクトスパークのキャプテンだからだろ。 ほら、ベルナルド様のところに行ってこい。 」 ユーリに蹴り飛ばされるようにして部屋を出た。 そして兄様のところに行く。 [newpage] だだっ広い食卓にベルナルドは座っていた。 右手にはコーヒーカップを、左手にはさっきプリントアウトした書類を持っていた。 「・・・遅い。 」 彼は少し苛立っていた。 彼の弟、フロイを呼び出したにも関わらず、自分のもとに来るのが遅かったから。 その時、カチャリとドアが開く音がした。 「フロイ、遅いぞ。 」 「兄様、すみません。 」 反省しているのか、うなだれてフロイは入ってきた。 「兄様、どんな用ですか?」 「いいからそこに座れ。 食事しながら話そう。 」 ベルナルドはそばに控えていた若い執事たちに食事を運ぶように告げると、もう一度書類に目を落とした。 室内に沈黙が戻ってきた。 フロイは昔の記憶に思いをはせていた。 小さい頃はここに兄様とご飯食べながらサッカーの話をしてたっけ・・・ しばらくすると、執事たちが食事を運んできた。 全て運び終えると、ベルナルドは執事たちをチラリと見た。 執事たちは互いの顔を見合わせた後、静かに部屋を出た。 「フロイ、ロシアチームはどのような調子だ。 」 書類から目を離さず、ベルナルドは問うた。 「最良の状態ですよ。 我々ロシアはいつも最良の状態です。 」 フロイは多いくらいの食事は口に運びながら言った。 「そうか。 」 短く返答する。 それで会話は終了。 「兄様は、サッカーをやらないのですか?」 「私は忙しいのだ。 やる時間があれば仕事するさ。 」 「そう、ですか。 」 フロイは食事を済ませると、ベルナルドにあることを聞いた。 「兄様。 」 「なんだフロイ。 」 「兄様は、生まれ変わったら何になりたいですか?」 「生まれ変わったら?」 「ええ。 」 「・・・・・」 フロイは兄の返答を待った。 「・・・後で答えよう。 今は分からん。 」 「・・そう、ですか・・・・」 ベルナルドの回答に、フロイは肩を落とした。 「じゃあお前は何になりたいんだ?」 「僕、ですか?僕はパソコンになりたいです。 」 「パソコン?」 ベルナルドは怪訝そうに美しく整った顔を歪めた。 彼の反応はユーリと同じだ。 「ええ。 パソコン。 」 「そうか。 」 ベルナルドはまた書類に目を落とした。 「絶対、答えてくださいよ。 」 部屋から出る直前、フロイはそう言った。 しかし、ベルナルドは目もくれず、返答すらしなかった。 「生まれ変わったら、か・・・」 フロイの背が見えなくなった頃、静かに呟いた。 [newpage] 私は執務室に戻って、溜まっていた仕事を次々と片付けていった。 カタカタとパソコンのキーボードを打つ音と私の微かな息づかいだけが室内にこだまする。 コンコンとノックの音が聞こえた。 「グスターブか。 」 「失礼します。 」 優秀な老執事が大量の書類を抱えて部屋に入ってきた。 そしてその大量の書類をドンと机におく。 「ありがとう。 」 一言礼を言うと、ペコと彼は頭を下げた。 「それでは失礼しました。 」 仕事の邪魔をしないようにと、最大限の気遣いをしながらグスターブは部屋を出た。 それにしても大量だな。 エベレストのような書類の山を見て、しみじみオリオン財団の多忙さに感心する。 「さてと、やるか。 」 肩を自分でもんで、書類の山に挑む。 昼食も抜いてずっとパソコンや書類とにらめっこしていたというのに。 「・・まだなくならないのか・・・」 あの書類の山はエベレストではなくなっていたが、まだ富士山並の高さだった。 しかたない、休憩しよう。 そう思って立ち上がった時だった。 私の体が書類の山にあたり、バラバラと崩れ落ちたのだ。 「あ、ああ~」 我ながら情けない声を出しながら書類をかき集めた。 「グスターブ、来てくれ!」 拾い集めながら私は叫んだ。 しかし、遠い所にいて声が届かなかったのか、グスターブは来なかった。 「やれやれ、こんなことで労力を使うとはな・・・」 密かに呟いた。 ふと床に目をやると、写真が二、三枚落ちていた。 拾ってみると、私が今のフロイよりも幼かった頃の写真と生まれてすぐのフロイと私が写った写真とフロイと私が一緒になってボールを追いかけている写真だった。 この写真、なぜここに? 「・・・あいつらか。 」 私には思い当たる節があった。 それはあの食事を運ばせた若い執事たち。 そういえば、最近彼らに部屋の掃除を頼んだような気がする。 その時に出てきた写真が書類の下になっていたのだろう。 その写真をじーっと見つめてみる。 思い出した。 フロイの「生まれ変わったら何になりたいか。 」と言う問いに妙に懐かしいと感じたのか。 それは、幼い頃に『同じ問い』をされたからだ。 [newpage] 「なーベルナルド。 お前、生まれ変わったら何になりたい?」 「え?そうだな・・・じゃ、亘は何になりたいんだ?」 「俺?俺はな、サッカーのゴールになりたいんだ。 彼はベルナルドより何歳も年上で、最高のプレーヤーだった。 「私は・・・書類になりたい。 」 「へ?書類?」 素っ頓狂な声を上げて亘は言った。 「うん、だって書類になれば、『父様』にずっとみてもらえるから。 」 そうだ。 私は昔、生まれ変わったら書類になりたいと答えたのだ。 書類になれば、父にずーっと見て貰えるから。 父は今の私のようにずっと忙しそうに仕事をしていた。 当時はフロイも生まれてなかったから、いつも私はひとりぼっちだった。 私は家柄のために望めばなんでも手に入ったけれど、父の愛だけはどうしても得られなかった。 それは一番手に入らないもので、一番私が欲しいと望んだもの。 私はギリカナン家を継ぐために、そして父に見てもらうために勉強に励んだ。 そんな話をした数年後、ギリカナン家の次男としてフロイ・ギリカナンが生まれた。 初めて得た兄弟。 ある日、私は生まれてすぐのフロイのいるゆりかごを覗き込んだ。 私と同じ純白の髪は私との血のつながりを示す証に思えた。 その弟のやわらかそうな頬をつんと指で触れてみる。 やはりぷにっとして、柔らかかった。 その瞬間、パチッとゆりかごの中の弟は目を開けた。 そのつぶらな瞳は私と同じ明るい水色と濃い青色に、私と違う黒が入っていた。 しばらく、私と弟はじーっと見つめ合った。 そうして私は弟に指を突き出した。 泣かれて乳母が来るのも面倒だったから、指でもしゃぶってろと思ったのだが、弟はゆびをきゅっと握ってニコッと笑ったのだ。 その顔が本当に愛おしくて可愛くて。 私も微笑みを返したら弟は泣き出した。 解せぬ。 それから数年した後はフロイと朝早くから夕方まで遊んだ。 一日中ボールを追いかけたり、庭を散歩したり。 その幼いフロイのちょこちょこと歩く姿やニコッと瞳を細めて笑う顔がかわいらしくて。 その日常が変わったのは、フロイが手習いを始めた頃だった。 フロイは私の勉強を見ていたこともあり、すらすらと内容を理解し、ダンスや楽器のレッスンでは毎度のように神童と呼ばれていた。 私は急に怖くなった。 長男が家を継ぐと言うならわしはすでに古い。 もしかしたら私ではなく、フロイが一族を継ぐのではないかー。 そんな考えが頭をよぎった。 それからは少しずつフロイと距離を置くようになった。 「にいさま、あそぼうよ。 」 「悪いが私はやることがあってな、今日は遊べないんだ。 」 そんな言葉でフロイを避け続けた。 急に冷たくなった兄を弟はどう思ったのだろうか。 本音を聞いたことはないが、今思えば寂しくて仕方なかったのかも知れない。 あの頃の私のように。 急にフロイの顔が思い浮かんだ。 そして、スマホを操作してフロイに電話をかけた。 「フロイ、至急私の執務室に来い。 お前の問いに答えよう。 」[newpage] 兄様は急に執務室に来いと言った。 僕の問いって「生まれ変わったら何になりたいか。 」のことだよね。 兄様は忙しいはずなのにどうしたのだろう? 「失礼します、兄様。 」 執務室に入ると、兄様はパソコンと書類を交互に見つめていた。 「あの、兄様。 」 「ん?ああフロイか。 」 「何のご用ですか?」 「ああ、電話で言ったとおりだ。 私が生まれ変わったらなりたいものはな、」 いきなり兄様は話し始めた。 「もういちどギリカナンの一族になりたい。 そしてよりオリオン財団の力を強めたい。 」 やっぱり、兄様は仕事が一番なんだね。 「フロイ、お前、なぜパソコンになりたいんだ?」 「え?」 僕がパソコンになりたい理由? 「・・・それは、」 「当ててやろう。 そうだな・・・私がずっと見てくれるから。 違うか?」 「・・・どうしてそれを?」 「私も同じ事を聞かれたことがあってな、その時私はこう答えた『書類になりたい』とな。 それは父にずっと見て貰えるからだ。 お前、幼い頃からすごく寂しかっただろう?私も同じ思いをしたことがあるんだ。 」 椅子から立ち上がって兄様は近づいてきた。 「私が生まれ変わったらもう一度ギリカナンに一族になりたいと言っただろう。 それはより財団の力を強めるため、そしてもう一つ。 」 そこまで言うと、兄様は微笑みを浮かべて大きく手を広げた。 「我が弟、フロイ・ギリカナンをもう一度強く愛するためだ。 ・・・おいで、フロイ。 」 兄様は優しく言った。 それはかつて僕と遊んでくれた兄様と同じように。 「にい、さま・・!!」 僕のほっぺをつー、と涙がつたっていった。 そして僕は兄様の胸に飛び込んだ。 「にいさまぁっ!!」 胸に飛び込んだ僕を、兄様は優しく抱き締めてくれた。 「ごめんな、フロイ。 寂しかっただろう。 私はこんなに可愛い弟そっちのけで仕事ばかりで・・・本当にすまなかった。 」 「にいざまっ、ぼぐ、ずっどざびじがっだよ。 ずっどにいざまにこうやっで抱いで欲じがったよ・・・」 僕はずっと兄様の腕の中で泣き続けた。 何分も、何時間も。 そして、フロイは泣きに泣いた後、すやすやと私の腕の中で眠りについた。 その顔は凜として大人っぽかったがまだあどけなさの残る思春期の顔だった。 背もいつのまにか伸びていた。 こんな変化にも気づけないほど、私はフロイを見ていなかったのか。 「すまない、フロイ。 」 私はフロイを起こさないように懺悔の言葉を言う。 そしてフロイの額にチュッとキスをする。 「私の可愛い弟、ゆっくり眠るといいよ。 」 「に、いさま・・・」 フロイは寝言で私のことを呼んだ。 フロイはどんな夢を見ているのだろうか。 答えはただ一つ。 フロイとベルナルドが共にボールを追いかけている夢だ。 END.

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